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2025.03.23
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南アフリカのワイン産業と社会正義:ひとつの収穫から始まる変革

南アフリカのワイン産業と社会正義:ひとつの収穫から始まる変革

南アの複雑な事情とワイナリーの対応についての記事がありましたので翻訳して置いておきます。

 

↓↓南アフリカのワイン産業と社会正義:ひとつの収穫から始まる変革(出典元:南アフリカワイン協会)↓↓

 

南アフリカのワイン産業と社会正義:ひとつの収穫から始まる変革

 

南アフリカの冬、剪定の季節だった。「ものすごく寒かった」とヨハン・ライナカは語る。「僕は寒さをしのぐためにサーフィン用のウェットスーツを着ていた。でも黒人の同僚たちは服の下に新聞紙を入れていたんだ。それを見て『何とかしないと』と思った」。

 

 

それは1990年代後半のこと。彼は2000年に設立したビオディナミ農法のワイナリーで、労働者のために家を購入し、彼らの子どもたちを大学に通わせることを約束した。「正直、経済的には大失敗だった」とライナカは認めるが、今年6軒目の家が購入される予定で、今も取り組みは続いている。

 

 

南アフリカのワイン産業では、世界中のどのワイン産地よりも社会正義が重要視されている。人種隔離政策(アパルトヘイト)の影響が今も色濃く残る不平等な社会で、多くの労働者は厳しい環境の中で働いている。

 

 

記者が最近訪れた際、畑で働く人々や道を歩く人々はほぼ全員が黒人だったのに対し、近くの高級ワインタウン「フランシュフック」のテイスティングルームやレストランでは、観光客の95%以上が白人だったという。

 

 


ワイン産業が直面する課題と取り組み

 

 

農園では、多くの生産者が最低賃金(R5,614/月)より高い給料を支払っている。

 

 

しかし賃金だけが問題ではない。多くの労働者とその家族は農園に住み続けており、ボスマン・ワインズでは世代を超えてその村に暮らしている。彼らは保育園や学習センター、高齢者施設まで建設した。

 

アイオナという農園を買ったアンドリュー・ガンも、「農家としての責任がある」と語る。

 

南アフリカの「ワイン&農業倫理貿易協会(WIETA)」の認証制度は、賃金や労働条件だけでなく、労働者の住居も3年ごとに検査する。輸出を行う生産者にとっては、この認証が必須だ。

 

 


教育と地域支援の現場

 

 

元ロンドンの特別支援教師ソフィア・ワーナーは、2003年に南アフリカへ移住し、教育支援団体「Pebbles(ペブルズ)」を設立。現在は1,400人の子どもたちに、健康診断、乳幼児支援、保育、放課後クラブ、移動図書館、医療・歯科サービスなどを提供している。

 

 

また、スピアの「Tree-Preneurs(ツリープレナー)」プログラムでは、貧困地域の住民が苗木を育てて、成長した木と引き換えに生活用品や学校用品を受け取れる仕組みがある。これまでに寄付された木は100万本を超える。

 

 

資金の一部はフェアトレード制度によるもので、ワイン1本ごとに約4ペンスのプレミアムが労働者に還元される(現金ではなく、選ばれた製品やサービスに使用)。たとえば「Journey’s End」ではこの資金でガスコンロや洗濯機を労働者に提供している。

 

 


それでも残る厳しい現実

 

とはいえ、現地の生活状況は依然として厳しい。多くの労働者は「インフォーマル・セトルメント(非公式居住地)」と呼ばれるバラックに暮らし、電気や水道も十分でない。アルコール依存、家庭内暴力、胎児性アルコール症候群などの問題も深刻で、13歳時点での中退率は50%、若者の失業率は全国で44%にものぼる。

 

「サードワールドとファーストワールドが隣り合って、目の前にある」とライナカは言う。

 

 


未来への希望と挑戦

 

黒人による土地所有の割合は政府目標の20%に対し、2025年を目前にわずか3%。ステレンボッシュの農業学校でも、黒人学生は全体の9%にとどまる。

 

ボスマンでは地元の大学に進学する若者が2020年の1人から、今では8人に増えている。PYDA(ピノタージ・ユース・アカデミー)では失業中の18〜25歳を対象に観光業やワイン業界の職業訓練を提供している。

 

黒人主導のワインビジネスも育ってきている。例えば、アダマ・ワインズ(Adama Wines)の創設者プレイシー・ドラミニは、母親に「あなたワインも飲まないのに、なぜこんな道を?」と驚かれたそうだ。女性・黒人主導のこの会社は、売上の一部を学生の奨学金に充てている。

 

 


小さな一歩が未来を変える

 

ネルソン・マンデラの写真を指して「この人のために来た」と語る英国人ワインメーカー、アレックス・デイル。彼はマンデラ当選の日にフランスの仕事を辞め、南アフリカで「Land of Hope(希望の土地)」基金を設立。現在は14人の子どもたちの私学教育を支援している。

 

南アフリカの構造的な不平等は根深く、政府も十分な改革を進められていない。それでも、ライナカやソフィア・ワーナー、プレイシー・ドラミニたちは「ひとつの収穫から始まる」未来のために、今も努力を続けている。

 

「小さな貢献だけど、どこかから始めなければ」と、黒人女性醸造家ベレン・ソールズは語る。「それは、たった一人から始まるんです」。