近年世界的に人気上昇中の品種として真っ先に挙げられるのがピノ・ノワールですが、実はソーヴィニヨン・ブランも今世界で人気が高まっており、南アフリカも例外ではありません。
ソーヴィニヨン・ブランは、古典的なさわやかさの辛口のサンセールやスモーキーさが特徴のプイィ・フュメのフランスロワール地方で最もよく知られ、セミヨンとの組み合わせでボルドーで優れた白ワインが多く生産されています。
18世紀に広く栽培されていたソーヴィニヨン・ブランは、現在人気を取り戻し、世界の産地の中においても栽培のし易さという要因もあり栽培面積が増加している産地があり、今世界的に注目されている品種の一つです。
OIVが発表した統計(2017年)によると、ソーヴィニヨンの栽培面積はワイン用のブドウとしては世界第8位となっており、ワイン用の白ブドウの中ではアイレン、シャルドネに次ぐ第3位となっています。また、その統計によるとソーヴィニヨン・ブランの栽培面積の年間平均増加率は3%以上を示しており、世界的には現在でも増加の傾向にあると言え、現在ではフランス以外にも世界の各地で高い品質のソーヴィニヨン・ブランが造られています。
という事で、今回はソーヴィニヨン・ブランそして南アフリカにおけるソーヴィニヨン・ブランを一旦整理してみましょう!!
ソーヴィニヨン・ブランの特徴
外観は産地の気候によって特徴が異なり、緑がかった色合いを持つワインから濃い黄金色の外観を持つワインまで幅が広いです。
香りは個性的で、栽培環境、醸造方法の違いによりさまざまな表情を見せてくれます。冷涼な産地で栽培されたソーヴィニヨン・ブランの香りは青草や柑橘系のようなニュアンスを持ちやすい一方、温暖な産地ではグレープフルーツ、白桃やパッションフルーツなどの心地よい香りを見せてくれます。
味わいはフレッシュで、高めな酸味を持ち、爽やかで飲み心地良く、鮮やかなでイキイキしています。涼しい産地で育ったソーヴィニヨン・ブランはクリスピーで、やや野生的な表情を見せてくれ、暖かい産地ではパイナップル、白い桃のニュアンスを中心に、フルーティーなワインを生み出します。また、樽熟成をした場合にはボリューム感が増し、バニラやアーモンドの風味を感じることもあります。
■ソーヴィニヨン・ブランの歴史
1990年代にアメリカのカリフォルニア大学デイビス校で行われたDNA解析の結果、ソーヴィニヨンブランの発祥地はフランスのロワール地方ということが分かりました。フランス北東部のサヴァニャンという葡萄が親品種とされ、サヴァニャンの親品種がピノノワールということで、ソーヴィニヨンブランはピノノワールの孫にあたると言えます。ちなみに、名前の由来は一説には「Sauvignon」の語源はフランス語の「Sauvage」(ソヴァージュ)という言葉に由来し、「野生的」という意味を持つそうです。
■南アフリカのソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランがいつ南アフリカに入ってきたのかは定かではありませんが、1880年代後半にはコンスタンシアに所在するあるブドウ畑に植えられていたと考えられています。1970年代に南アフリカ国内にある農業研究センターから栽培に適した苗木が入手できるようになり、ブドウの生産量が増えたことから、南アフリカでソーヴィニヨン・ブランの人気が出てきました。
現在では、国内で最も多く植えられている5つの品種のうちの1つとなっています。上述のOIVが発表した統計(2017年)によると、ソーヴィニヨン・ブランの栽培面積は、シュナン・ブラン、コロンバールに次いで第3位となっており、更にその面積は世界的なトレンドと同様に南アフリカでも増加の傾向を示しています。
ソーヴィニヨン・ブランは、現在南アフリカのほぼすべてのワイン生産地で生産されており、ステレンボッシュが最も栽培面積が大きく、ロバートソン、スワートランド、ウースターと続きます。冷涼な気候の地域で特にその高いポテンシャルを発揮することから、今後冷涼な地域での栽培の増加が更に期待されます。
■ソーヴィニヨン・ブランとのペアリング
冷涼な産地で作られたシャープなソーヴィニヨン・ブランには、青さを感じさせる野菜やサラダ全般、そして白身魚やレモンを絞った料理とのペアリングがお勧めです。
また、温暖な産地のソーヴィニヨン・ブランにはサーモン、フェタチーズ、チキン、ターキーやオリーブオイルを使った料理と良い相性を見せてくれます。また、アスパラガスにも合いますので、一度試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、5月12日はInternational Sauvignon Blanc Dayだそうです。北半球では徐々に暖かくなる時期ですからスッキリとした白ワインが飲みたくなる時期にソーヴィニヨン・ブランを飲みましょう!といった感じでしょうか。
■南アフリカのおすすめソーヴィニヨン・ブラン
当店売れ筋のソーヴィニヨン・ブランから是非一度試してもらいたいソーヴィニヨン・ブランまでお薦めソーヴィニヨン・ブランをご覧ください。
スピアー ソーヴィニヨン・ブラン 2020
南アフリカの高級ワイン産地ステレンボッシュで1692年からワイン造りを行う名門が造るコスパワインの代表選手。新鮮な柑橘果実のアロマを持ちハーブや若芝を想わせるスパイシーな味わいが特徴の上質な白ワイン。
デレイア・グラフ ソーヴィニヨン・ブラン 2019
厚みのある果実味と程よいグリーンノート。飲みごたえのあるバランスの良い一本です。
ブドウは、ステレンボッシュの自社畑ではなく、ウエスタンケープ州のあちこちから調達し、様々な味わいが表現されています。
アタラクシア ソーヴィニヨン・ブラン 2020
ピュアなミネラル感がありスパイシー、そしてパッションフルーツやレモン、メロンなどの果実感にあふれています。アロマが豊かで滑らか、そこに活き活きとした酸が加わり、エレガントなテクスチャーに仕上がりました。旧・新世界の表現するスタイルのそれぞれ良いところを取ったような、魅力のあるソーヴィニヨンブランです。
クライン・コンスタンシア パルダブロッカ・ソーヴィニヨンブラン 2017
青々しいハーブやグレープフルーツ、ライムなどの香りに、仄かな甘味としっかりとした酸、ミネラリティ、リッチで力強く余韻も長い素晴らしい白ワインです。
参考資料
https://www.wosa.co.za/The-Industry/Varieties-and-Styles/White-Wine-Varieties/
en-distribution-of-the-worlds-grapevine-varieties.pdf (oiv.int)