南アのワインを世界に知らしめた「ド・トラフォードワインズ」が経営するワイナリー。
アフリカ大陸最南端のアグラス岬からほど近い、「マルガス」にあるワイナリーです。
ド・トラフォードのオーナー醸造家、デイヴィット・トラフォード氏は、Chヌフ・デュ・パプのガレ・ルーレの礫岩を彷彿させる土壌をこの地に見つけ、直ぐさま土壌の専門家を召集し、地質調査を行いました。
調査の結果、この地の土壌は栄養素に乏しい、複雑な沖積土壌でボッケベルト頁岩と風化した礫から形成れている類まれなる土壌であることがわかりました。海から僅か15km。降雨量は非常に少なく、マイルドな気候を持ちます。周囲40km内には他の畑は一切ないという、完全に孤立したブドウ畑は正に唯一無二。
南アフリカの名門、ステレンボッシュに位置する標高380mのマウント・フルールで世界的に評価の高いワインをつくってきた、醸造家デイヴィット・トラフォード氏。彼が手がける南アフリカ屈指の名門ワイナリード・トラフォードのワインは入手困難なカルト的ワインにまで成長させてきました。
デイヴィット氏の父親は事業を営んでいましたが、ワイン造りに強いパッションを抱き、事業を辞め、ステレンボッシュの小高い山「モン・フルール」の標高の高い地点に土地を購入しました。しかし、父の時代はワイン造りには規制が多く、この地ではブドウ栽培も行われていなかったことから、新しく植樹することは認められず、苗木造りを行うしかありませんでした。
そして時代は流れ、デイヴィットがを受け継ぎ、父の夢でもあり、自身の夢ともなったワイン造りに着手します。次第にワインに対する強いパッションが彼を突き動かし、独学でワインを勉強、その後1989年にはフランスに渡りサンテ・ミリオンで修行します。今では完全に建築家家業を辞め、ワイン造りを行っています。
サインブランドは、新しい可能性を求めデイヴィットが2000年に見つけた秘境で、2004年よりワイン造りをはじめました。
マルガスで見つけた岩の多い土壌は、Chヌフ・デュ・パプやポルトガルのドゥロを彷彿させるものがありました。そこで、地質学の専門家を派遣し、200を超える土壌検査の穴を50mのグリット状に掘り土壌の調査を実施しました。調査の結果、土壌はシンプルで「ボッケヴェルトの頁岩」と散り散りに広がる「河岸段丘の残留物である砂岩の礫岩や石ころ」から成っていることがわかりました。ただその土壌の構成は非常に複雑で、風化作用も様々。そして、沖積堆積物の層が幾重にも重なりあうことで土壌をより複雑な状態にしていることもわかりました。
サインのブドウ畑のは、このボッケヴェルトの頁岩上に沖積堆積物が重なる土壌の上にあり、力強さと骨格のバランスに優れ、複雑なアロマとフィネスを併せ持つワインを生み出してくれます。また、栄養素に貧しく複雑な土壌環境は、ブドウの根を地中深くまで張りめぐらせ、ブドウ樹がおのずとゆっくりと成長し収穫高を抑えてくれる効果もあれりました。この結果、素晴らしい個性を備えた唯一無二のワインが誕生したのです。
沖積堆積物
ヌフ・デュ・パプに見られるような砂岩の礫岩やローム質の細かい砂に含まれる小石、僅かな泥質堆積物からなり、これらの土壌は洗練され、アロマティックなワインをうみ出します。
ボッケヴェルト頁岩(シェール土壌)
沖積堆積物の下部と表土にみられます。泥質ミネラル、クォーツ、炭酸カルシウムの結晶から成る土壌で、ポルトガルのドウロ地区の風化したスレート土壌によく似ています。力強さに満ち溢れ、骨格のしっかりしたワインをうみます。